ビジネスメール詐欺(BEC)とは何か
この教材でわかること:経営者や取引先になりすました偽メールで、経理・財務の担当者をだまして送金させる「ビジネスメール詐欺(BEC)」とはどのようなものか、よくあるだましのパターンと、被害を防ぐための基本的な備えです。
ビジネスメール詐欺(BEC)とは
IPA(情報処理推進機構)は、ビジネスメール詐欺(BEC:Business E-mail Compromise)を「巧妙な騙しの手口を駆使した、偽の電子メールを組織・企業に送り付け、従業員を騙して攻撃者の用意した口座へ送金させる詐欺の手口」と説明しています。教材「フィッシング詐欺の見分け方」で取り上げた、不特定多数に送られる偽サイトへの誘導メールとは異なり、BECは特定の会社・担当者を狙い、実際の送金という金銭的な被害に直結する点が特徴です。IPAが公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織向け脅威ランキングでは、ビジネスメール詐欺は第10位に選ばれています。
よくある2つのだましのパターン
IPAは、ビジネスメール詐欺を「誰になりすますか」によって、主に2つのパターンに分類しています。
- 取引先との請求書の偽装:取引先や仕入先になりすまし、偽の請求書や「振込先の口座が変わりました」という連絡を送り、攻撃者が用意した口座に送金させる手口です。攻撃者が事前にメールのやり取りを盗み見て、取引の内容や担当者名を把握した上で仕掛けてくる場合があり、海外の取引先がある会社で多く確認されているとIPAは報告しています。
- 経営者等へのなりすまし:自社や親会社・海外関連会社の経営者・幹部になりすまし、経理・財務部門の担当者などに「極秘の用件なので今すぐ送金してほしい」といった形で送金を指示する手口です。攻撃者が経営者の実在のメールアドレスの表記などを事前に調べ、より本物らしく見せてくる場合があります。
被害を防ぐための基本的な備え
長野県警察が公表している対策の案内では、特に「支払いに関するメール」について、次のような確認を徹底するよう呼びかけています。
- メール以外の手段で確認する:振込先の口座が変わる、急な送金を求められるといった内容のメールを受け取った場合、メールに書かれた連絡先ではなく、普段使っている電話番号や名刺に記載された連絡先など、別の手段で本人・本物の取引先に直接確認します。
- 不自然な点に注意する:送信元のメールアドレスが本物とわずかに異なっていないか(なりすまし)、普段と違う言い回しや「今すぐ」「極秘で」といった急かす表現がないかを確認します。
- メールアカウント自体を守る:IDとパスワードを適切に管理し、他のサービスとの使い回しを避けます。教材「パスワード管理の基本」も参考にしてください。
- 社内で共有する:不審なメールに気づいた担当者が一人で判断せず、社内で相談・共有できる体質にしておきます。
被害に気づいたときの対応
長野県警察の案内では、だまされて送金してしまったことに気づいた場合、次の対応を速やかに行うことが案内されています。
- ウイルスチェックとメールアカウントのパスワード変更を行い、不正アクセスや見覚えのない転送設定・振り分けルールがないか確認する
- 送金元の銀行に、送金のキャンセルや組戻(取り戻し)の手続きをできるだけ早く依頼する
- 攻撃者からのメール本文とヘッダー情報を保存しておく
- 最寄りの警察署、またはサイバー犯罪相談窓口に相談する
自分たちだけで対応を進めるべきか迷う場合は、教材「セキュリティ専門家への相談タイミング」も参考にしてください。
何をすべきか(まとめ)
- 経理・財務の担当者や経営者自身に、ビジネスメール詐欺というだましの手口があることを知ってもらう
- 振込先の変更や急な送金を求めるメールを受け取ったら、メール以外の手段で必ず本人・取引先に確認するルールを社内で決めておく
- メールアカウントのID・パスワードを適切に管理し、使い回しを避ける
参考にした公開情報
この教材は公開情報をもとに、セキュリティ担当がいない方にも分かるよう編集部がまとめたものです。個別の会社の安全を保証するものではありません。実際に被害にあった場合は、警察や専門家に早めにご相談ください。
