内部不正対策の基本
この教材でわかること:外部からの攻撃だけでなく、社内の従業員によるデータの持ち出しや不正利用(内部不正)も情報漏えいの原因になります。内部不正とはどのようなものか、そして中小企業が無理なく取り組める基本的な対策です。
内部不正とは何か
内部不正とは、社内の従業員や、業務委託を受けている関係者が、権限を悪用して情報を持ち出したり、不正に利用したりすることです。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「内部不正による情報漏えい等」が組織向け脅威の第7位に選ばれており、このランキングが始まった2016年以降、毎年選ばれ続けている継続的な脅威とされています。外部からの攻撃に注意を向けがちですが、社内の人による情報の持ち出しも、同じくらい気をつけるべき脅威です。
中小企業で対策が手薄になりがちな理由
IPAが2022年12月7日〜12日に1,179名を対象に行った「企業における内部不正防止体制に関する実態調査」によると、内部不正のリスクを経営上の重要課題として扱っている企業は、全体でもほぼ40%に留まっており、IPAはこれを高い水準とはいえないとしています。また、個人情報以外の重要な情報を特定・区分する仕組みを持つ企業の割合は半数に満たず、中途退職者に秘密保持義務を課す取り組み(誓約書の取得や就業規則での規定など)を行っている企業の割合も半数に達していませんでした。この調査は企業規模別の内訳までは公表されていませんが、専任の担当者や予算が限られる中小企業では、同様の対策がより手薄になりやすいと考えられます。
基本的な対策
- 重要な情報を区分する:どの情報が特に守るべきものか(顧客情報、取引先情報、未公開の価格・企画など)を、まず社内で共有しておきます。
- アクセス権限を必要な範囲に絞る:業務上必要な人だけが、必要な情報・システムにアクセスできる状態にします。全員が全ての情報を見られる状態は避けます。
- 誰が何にアクセスしたかが分かる状態にする:サイトの管理画面やクラウドサービスのログイン履歴・操作履歴が確認できる設定になっているか確認します。教材「管理画面を守る基本」も参考にしてください。
- 基本方針を決めて共有する:「業務で知った情報を外部に漏らさない」「退職時にはアカウントを整理する」といった基本的なルールを、社内で明文化し共有しておきます。
退職者対策は、別の教材で詳しく解説しています
内部不正対策の中でも、従業員が退職するタイミングの対応は特に重要かつ具体的な手順が必要なため、教材「従業員の退職時に必要なアカウント整理」で個別に解説しています。この教材と合わせて確認してください。
何をすべきか(まとめ)
- 社内で「特に守るべき情報は何か」を一度整理し、共有する
- サイトの管理画面やクラウドサービスのアクセス権限を、必要な人・必要な範囲に絞る
- 基本的なルールを明文化し、退職者対策(教材「従業員の退職時に必要なアカウント整理」)も含めて社内で共有する
参考にした公開情報
この教材は公開情報をもとに、セキュリティ担当がいない方にも分かるよう編集部がまとめたものです。引用した実態調査は企業規模別の内訳を公表していないため、中小企業に特化した数値ではない点にご留意ください。個別の会社の安全を保証するものではありません。
