DDoS攻撃(サービス妨害攻撃)とは
この教材でわかること:大量のアクセスを一斉に送り込み、サイトを正常に使えなくしてしまう「DDoS攻撃」のしくみと、サイト運営者としてできる備えです。
このシリーズ「攻撃者の視点を知る」では、Webサイトを狙う代表的な攻撃の手口を、1つずつやさしく解説します。目的は攻撃の「やり方」を知ることではなく、しくみを知ることで「何を」「なぜ」「どう」守るべきかを判断できるようになることです。実際に攻撃を試すための情報は含みません。このシリーズでここまで見た5つの手口は、どれも「情報を盗む」「書き換える」「なりすます」というように、何かを得ようとする手口でした。最後に紹介するDDoS攻撃は目的が異なり、何も盗まずに、サイトを使えなくすることだけを狙います。
DDoS攻撃とは
DDoS攻撃(Distributed Denial of Service、分散型サービス妨害攻撃)とは、米国国立標準技術研究所(NIST)の用語集で「多数の端末を使って行うサービス妨害の手法」と定義されている攻撃です。情報を盗み見たり書き換えたりするのではなく、サイトやサーバーに通常よりはるかに多いアクセス・通信を一斉に送り込むことで、本来の訪問者がサイトを開けなくなる状態(サービスの提供を妨害された状態)を作り出します。
小さなお店の電話を想像してください。1本しかない電話に、まったく買う気のない大勢の人たちが、同じ時間にいっせいに電話をかけ続けたとしたら、その電話はずっと話し中になってしまいます。本当に注文したいお客さまが電話をかけても、いつまでもつながりません。お店の電話機そのものは何も壊れていませんが、電話としての役目を果たせなくなっています。DDoS攻撃は、これと同じことをWebサイトへの通信で行う手口です。
「Distributed(分散型)」という名前の通り、1台のパソコンからではなく、無関係な多数の端末から同時に送り込まれる点が特徴で、これにより送信元を特定したり止めたりすることが難しくなります。
代表的な攻撃の種類
米国CISA(サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁)の資料では、DDoS攻撃は大きく3種類に分類されています。
- 帯域を消費させる攻撃(ボリューメトリック型):利用可能な通信帯域をあふれさせることを狙う攻撃
- 通信の仕組みを悪用する攻撃(プロトコル型):ネットワークの通信規約(プロトコル)の弱点を利用する攻撃
- 特定の機能を狙う攻撃(アプリケーション型):特定のアプリケーションや機能の弱点を狙う攻撃
何が起きるおそれがあるのか
- サイトが重くなる、またはまったく開けなくなる
- お問い合わせやオンライン販売などの業務が止まる
- 対応のための時間や、ホスティング会社への相談・追加コストが発生する
サイト運営者としての備え
DDoS攻撃への対策は、個人や一社だけで作り込むのが難しい分野で、サーバー側・ネットワーク側の仕組みが中心になります。小さな会社のサイト運営者ができることは、主に次のとおりです。
- サーバー会社・ホスティング会社に確認する:契約しているサーバーやCDN(コンテンツ配信ネットワーク)に、DDoS対策の機能が含まれているかを確認しましょう。多くのレンタルサーバーやCDNサービスには、基本的な対策が標準で組み込まれています。
- サイトが開けなくなったときの連絡先を決めておく:いざというときにすぐ相談できるよう、サーバー会社の連絡先と、サイトが開けない間の代替手段(SNSでのお知らせなど)を事前に決めておきましょう。
- 普段と違う重さ・アクセス状況に気づけるようにする:アクセス状況を確認できる仕組みがあると、異常の早期発見につながります。
外から見える範囲の設定は無料診断で確認できます。もしものときの初動の考え方は「インシデント発生時の初動対応」も参考になります。
このシリーズを読み終えたら
このシリーズでは、SQLインジェクション・XSS・ブルートフォース攻撃・クレデンシャルスタッフィング・中間者攻撃(MITM)・DDoS攻撃という6つの代表的な手口を紹介しました。入力欄を狙う手口(SQLインジェクション・XSS)、ログインを狙う手口(ブルートフォース攻撃・クレデンシャルスタッフィング)、通信を狙う手口(MITM)、サービスそのものを止める手口(DDoS攻撃)という4つのグループで振り返ると、整理しやすくなります。全体のつながりは、最初に読んだ「Webサイトが攻撃される仕組み」でも振り返れます。
参考にした公開情報
- CISA:Understanding and Responding to Distributed Denial-of-Service Attacks(英語)
- NIST CSRC:Distributed Denial of Service(英語)
この教材は公開情報をもとに、セキュリティ担当がいない方にも分かるよう編集部がまとめたものです。個別のサイトの安全を保証するものではありません。
