初心者向け攻撃者の視点を知る約9分

ランサムウェアの基本と対策

この教材でわかること:ランサムウェアとはどのような攻撃か、なぜ中小企業も狙われるのか、そして今からできる基本的な備えです。

ランサムウェアとは

ランサムウェアとは、感染した端末やサーバー上のデータを暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに身代金(ランサム)を要求する不正プログラムです。近年は、データを暗号化するだけでなく、事前に盗み出したデータを「支払わなければ公開する」と脅す「二重恐喝」の手口も広がっています。

警察庁サイバー警察局が2026年9月に公表した統計によると、2026年上半期(1〜6月)の国内のランサムウェア被害報告件数は123件で、統計を取り始めた令和2年下半期以降、半期の件数として過去最多となりました。被害企業・団体のうち約6割を中小企業が占めており、業種も製造業を中心に幅広い業種に及んでいます。

なぜ中小企業も狙われるのか:RaaSという仕組み

同統計によると、ランサムウェア攻撃の多くは「RaaS(Ransomware as a Service)」と呼ばれる仕組みで行われています。これは、ランサムウェアの開発・運営を行うグループが、攻撃の実行者(アフィリエイトと呼ばれます)に攻撃に必要な環境を提供し、身代金の一部を報酬として受け取る形態です。この仕組みにより、高度な技術的専門知識を持たない攻撃者でも攻撃を実行できるようになり、攻撃者の裾野が広がっているとされています。「大企業や有名企業でなければ狙われない」とは言えない状況です。

主な侵入経路

同統計では、被害組織へのアンケート結果をもとに、侵入経路としてVPN機器の脆弱性や漏えいした認証情報の悪用が約5割を占めるとされています。攻撃者は、未修正の脆弱性や漏えいした認証情報を悪用してネットワークに侵入し、管理者権限の奪取や内部探索を経て、データを盗み出した上でランサムウェアを実行する、という流れが一般的です。

被害に遭うとどうなるか

同統計によれば、ランサムウェア被害に遭った企業・団体へのアンケートでは、復旧に総額1,000万円以上を要した組織の割合が全体の6割を占め、1か月未満で復旧できた組織の割合は全体の5割弱にとどまるなど、被害が長期化・高額化する傾向にあります。

今からできる基本的な備え

  1. 定期的なバックアップと復元テスト:最も基本的な備えです。バックアップを取るだけでなく、実際に復元できることを定期的に確認してください。複数世代のバックアップを、オフライン(ネットワークから切り離した状態)でも保管することが望ましいとされています。詳しくは教材「バックアップの重要性と頻度」を参照してください。
  2. VPN機器・リモートアクセスの更新とパスワード管理:侵入経路として多いVPN機器のソフトウェアを最新に保ち、パスワードを使い回さないことが重要です。教材「安全なパスワードマネージャーの選び方」も参考にしてください。
  3. CMS・プラグインなどの更新を止めない:既知の脆弱性を悪用されないよう、サイトを構成するソフトウェアの更新を継続してください。

万が一、被害に遭ってしまったら

感染に気づいた場合は、まず対象の端末をネットワークから切り離し、慌てて電源を切ったりファイルを削除したりしないことが重要です(ログなどの記録を消してしまうおそれがあります)。身代金を支払うべきではないとされており、まずは警察やIPAなどの窓口に相談してください。初動対応の詳しい流れは教材「インシデント発生時の初動対応」で解説しています。IPA(情報処理推進機構)も、実際の被害事例から学べる経営者向けハンドブック「ランサムウェア被害から学ぶ教訓集」を2026年9月に公開しています。

参考にした公開情報

この教材は公開情報をもとに、セキュリティ担当がいない方にも分かるよう編集部がまとめたものです。実際に被害が疑われる場合は、自己判断で対応を進める前に、警察や専門家にご相談ください。

教材一覧へ戻る ・ 無料診断でサイトを確認する