ランサムウェア被害、2026年上半期で過去最多に。中小企業が約6割を占める(警察庁)
ひとことで言うと:ランサムウェアとは、たとえるなら、強盗がお店のレジや金庫を押さえてしまい、「金を払わなければ中の商品を燃やす」と脅してくる身代金要求のようなサイバー攻撃です。警察庁が2026年9月に公表した統計によると、2026年上半期(1〜6月)の国内ランサムウェア被害の報告件数は123件で、半期ごとの集計としては統計を取り始めた令和2年下半期以降で最多となりました。被害企業・団体のうち約6割を中小企業が占めており、「大企業だけの話」ではないことが数字で裏付けられています。特定のサイトの脆弱性ニュースではなく、1年間・半年間の傾向をまとめた統計レポートです。
何が起きたか
警察庁サイバー警察局は2026年9月、「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表しました。このレポートによると、2026年上半期(1〜6月)に国内で報告されたランサムウェアの被害件数は123件で、統計を取り始めた令和2年下半期以降、半期ごとの件数としては過去最多となっています。
被害企業・団体を組織の規模別に見ると、中小企業が79件、大企業が31件、団体等が13件で、前年と同様に中小企業が全体の約6割を占めています。業種別では製造業が37件で最も多く、卸売・小売業(15件)、情報通信業・不動産業/物品賃貸業(各9件)、建設業(8件)と続きますが、これら以外にも様々な業種で被害が確認されています。
同レポートは、攻撃の多くが、ランサムウェアの開発・運営グループが攻撃に必要な環境を提供し、見返りとして身代金の一部を受け取る「RaaS(Ransomware as a Service)」と呼ばれる仕組みで行われていると説明しています。いわば、金庫破りの道具一式を「レンタル」して分け前を取る元締めのような仕組みで、この仕組みにより、高度な技術的専門知識を持たない攻撃者でも、ランサムウェア攻撃を実行できる状況が広がっているとされています。侵入経路については、被害組織へのアンケート結果で、VPN機器の脆弱性や漏えいした認証情報の悪用が約5割を占めるとされています。たとえるなら、裏口の鍵(VPN機器の脆弱性)が壊れていたり、盗まれた鍵(漏えいした認証情報)が使われたりして、強盗が店に入り込んでいるような状態です。
被害後の負担も重く、ランサムウェア被害に関するアンケート結果によると、復旧に総額1,000万円以上を要した組織の割合は全体の6割を占め、1か月未満で復旧できた組織の割合は全体の5割弱にとどまるなど、被害が長期化する傾向にあるとされています。
誰に関係するか
「大企業や工場が狙われる話」というイメージを持たれがちですが、この統計が示すとおり、被害企業・団体の約6割は中小企業です。業種も製造業だけでなく、卸売・小売業、情報通信業、不動産業など幅広い業種に及んでいます。会社の規模や業種にかかわらず、インターネットに接続した機器やサーバーを使っている会社であれば、関係のある脅威だといえます。
何をすべきか
1. 定期的なバックアップと、復元できることの確認
最も基本的な備えは、定期的なバックアップです。バックアップを取るだけでなく、実際にそのバックアップからデータを復元できるかを定期的に確認することが重要です。バックアップの考え方は、教材「バックアップの重要性と頻度」で解説しています。
2. VPN機器やリモートアクセスの更新・パスワード確認
侵入経路としてVPN機器の脆弱性や漏えいした認証情報の悪用が多いとされています。VPN機器やリモートデスクトップなどのリモートアクセスの仕組みを使っている場合は、ソフトウェアの更新が最新になっているか、パスワードが使い回しでなく十分な強度か、管理会社に確認してください。
3. 被害に遭った場合は、まず相談する
万が一、被害に遭ってしまった場合の初動対応は、教材「インシデント発生時の初動対応」で解説しています。IPA(情報処理推進機構)も、経営者向けの「ランサムウェア被害から学ぶ教訓集」を2026年9月に公開しており、実際の被害事例から学べる内容になっています。
よくある質問
これは特定のサイトの脆弱性の話ですか?
いいえ。これは個別のCVE(脆弱性)ではなく、警察庁が2026年上半期(1〜6月)に国内で報告されたランサムウェア被害をまとめた統計です。このニュース欄で紹介している個別の脆弱性ニュースとは別に、被害の全体的な傾向を知るための情報として紹介しています。
大企業の話で、中小企業には関係ないのでは?
逆です。警察庁の統計では、被害企業・団体のうち約6割を中小企業が占めています。ランサムウェアは企業の規模を選ばず被害に遭う可能性がある脅威です。
何をすればいいですか?
最も基本的な備えは、定期的なバックアップと、そのバックアップから実際に復元できることの確認です。あわせて、VPN機器やリモートアクセスの仕組みを使っている場合はソフトウェアの更新とパスワードの強度確認も重要です。
参考にした公開情報
公表の正確な日付は、警察庁の資料表紙に記載の「令和8年9月」を基に月単位で記載しています。この記事は公開情報をもとに、セキュリティ担当がいない方にも分かるよう編集部がまとめたものです。個別のサイトの安全を保証するものではありません。
