初心者向けインシデント対応約8分

サイバー保険の基本(補償される範囲とされない範囲)

この教材でわかること:不正アクセスや情報漏えいなどのサイバー被害が起きたときにかかる費用に備える「サイバー保険」とはどのようなものか、一般的にどこまで補償されるのか、そして補償されないことが多い点です。

サイバー保険とは

サイバー保険とは、不正アクセスや情報漏えい、サイバー攻撃によって会社が負うことになった費用・損害を補償する損害保険の一種です。教材「インシデント発生時の初動対応」や「セキュリティ専門家への相談タイミング」では、何かが起きたときの行動や相談先を解説しましたが、実際に調査会社や専門家に対応を依頼すると、相応の費用がかかります。サイバー保険は、こうした「もし起きたときの費用」に備える手段の一つです。

加入している中小企業はまだ少ない

日本損害保険協会が実施した「中小企業を取り巻くリスク意識調査2022」によると、サイバー保険に加入していると回答した中小企業の割合は4.1%でした。つまり、調査に回答した中小企業の9割以上が未加入という状況です。サイバー攻撃のリスクが注目される一方で、実際に保険で備えている中小企業はまだ少数派であることがうかがえます。

一般的に補償される費用

弁護士向けの実務解説サイトの案内によると、サイバー保険の補償は大きく次のような種類に分けられることが多いとされています(商品によって名称や範囲は異なります)。

  • 損害賠償・対応費用:情報漏えいなどで被害を受けた取引先・顧客への賠償金や、裁判・弁護士対応にかかる費用
  • 危機対応費用:臨時のコールセンター設置、データ復旧、外部の調査会社によるフォレンジック調査、お詫び状の送付や被害者へのお見舞い品などにかかる費用
  • 事業中断による損失:システム停止などで事業が止まってしまった間の損失
  • 平時の事故防止支援:被害が起きる前の、事故防止のための相談・支援

補償されないことが多い点

同じ実務解説サイトでは、サイバー保険が「サイバー攻撃によるすべての被害を補償するものではない」と明確に注意しています。特に次の点は、商品によって補償対象外となっている場合が多いとされています。

  • ランサムウェアの身代金そのもの:国内で提供されている商品では、攻撃者に支払う身代金自体は補償対象外となっている場合があります。教材「ランサムウェアの基本」でも触れているとおり、身代金を払っても元のデータが復旧する保証はないため、支払い自体は推奨されていません。
  • 決済代行会社が保有するカード情報の漏えい:サイトが改ざんされ、偽の決済ページを通じて顧客のカード情報が盗まれた場合でも、そのカード情報を自社が保有していなければ、補償の対象から外れる場合があります。
  • 日頃の対策費用の代わりにはならない:保険はあくまで「起きたときの費用」への備えであり、バックアップや管理画面の保護といった日頃の対策(教材「バックアップの重要性と頻度」、「管理画面を守る基本」)の代わりにはなりません。

検討する際に気をつけたいこと

サイバー保険は商品によって補償範囲・上限額・対象となる業種や事業規模の条件が異なります。加入を検討する場合は、自社がどのようなリスク(ネットショップでの決済情報の取り扱い、問い合わせフォームでの個人情報の取り扱いなど)を抱えているかを整理した上で、複数の商品の補償範囲を比較することをおすすめします。

何をすべきか(まとめ)

  1. 自社がサイバー攻撃を受けた場合にどのような費用がかかりそうか(調査費用、お客様への対応費用など)を一度考えてみる
  2. サイバー保険を検討する場合は、補償される範囲と補償されない範囲(特に身代金や保有していないデータの扱い)を商品ごとに確認する
  3. 保険はあくまで費用面の備えであり、バックアップや管理画面の保護など日頃の対策は別途必要と理解しておく

参考にした公開情報

この教材は公開情報をもとに、セキュリティ担当がいない方にも分かるよう編集部がまとめたものです。保険商品の具体的な補償内容・条件は商品ごとに異なるため、加入を検討する際は各保険会社・代理店に直接ご確認ください。引用した加入率は2022年の調査に基づくものであり、現在の数値とは異なる可能性があります。

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